5年前に英国立自動車博物館ビューリーに行って実物を見てきた、ドナルド・キャンベルの速度記録車、ブルーバードCN7のミニカーを遂に入手した。全長9m、重量約4tもある大きなマシンであるがコックピットはこのように非常に小さい。低く地を這うようなボディとタイヤを覆うフェアリングの滑らかな曲線は前後に長いオーバーハングによる流麗なカーブを描いており鮮やかな青い塗装と相まって非常に美しい。ミニカーはその形状を上手く再現している。


こちらが本物のブルーバードCN7。イギリスのハンプシャー州の南部、ポーツマスの近くの荒野の中にある国立自動車博物館ビューリーの速度記録車ホールの中に展示されている。1964年7月17日にオーストラリアで車輪駆動車として最後の公式自動車世界最速記録648.73km/hを達成。この後の自動車の速度記録は全てジェット推進によるものとなる(実はFIAが認めていなかったが63年に既にジェット推進車は650km/hを越えていたのだけれど)。ドナルド・キャンベルはジェット化したブルーバードにて記録更新を計画していたが67年に水上速度記録に挑戦中に死亡している。ちなみに彼は陸上と水上の世界記録を同時に保持した唯一の人物である。正に速度記録に取り憑かれた男!

エンジン種類はガスタービンであり内燃機関ではないことに留意。ただし車輪駆動ではある。たまに内燃機関の最後の速度記録車とか、その排気管の位置や細いタイヤから噴射推進と誤解されていることがある。確かにタイヤはバイクのタイヤのように細いゴムの塊であるが、速度記録車というのは車輪駆動であってもそうしたものなのだ。超高速回転するタイヤは大馬力を伝えるからと言ってF1の様なぶっとい空気入りのものは使えない。固い真円度の高い物になるのだ。ちなみに車輪駆動車の記録も翌65年には直ぐにゴールデンロッド号により658km/hに塗り替えられ、現在の記録はチャレンジャー2号の722km/hである。



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