プラハ空港のそばにあるチェコ軍基地併設の空軍博物館。軍用機メインに約300機ほどが展示されている、欧州屈指の航空博物館である。余り観光客も来ないのか駐車場も門も目立たず小さい。軍の管理下にあり入場無料が嬉しい。閉じられたゲートの横の小さな門から勝手に入ると既に敷地内で輸送機やら旅客機がだだっぴろい所に並んでおりポツンポツンと木造やらプレハブやらのハンガーが点在する。とりあえず最初の小屋(失礼)に入ると入り口にお婆さんが座っており、話しかけると英語はあまり分からないようだが勝手に入って見てよいらしい。閑散としており写真は撮りやすくてよい。東欧の珍しいプラモが山積みの売店のお姉さんも暇そうで話しかけるとこちらは上手な英語で相手してくれる。とにかく広くて小さい展示場が分散しているので結構な距離を歩き回ることになる。別館はゲートから道路の反対側で1km近く離れているので徒歩で来ているお客さんは大変だろう。訪問する方はレンタカーの利用をお勧めします。
別館に展示されているチェコの航空技術の高さを示す、独自開発の多用途機 Aero L-159。ノーズが長くて日本のT-4よりカッコ良い。しびれた。

だだっ広い敷地に輸送機や旅客機が並んでおり、ポツンポツンとプレハブのようなチャチな建物が点在している、その中にはギッシリと貴重な機体が並んでいる。ここは第二次大戦館、まずはラボーチキンLa7戦闘機。露式フォッケ、という感じだが。

「シュトゥルモビク」と呼称されることも多いがそれは機種名ではなく対地攻撃機というジャンルのこと。頑丈で有名な IL-2m3。意外と機首はスラッとしているが胴体はガッチリした感じ。着陸脚がゴツイ!!

なんだこれはの地上練習機、シミュレータの元祖というべきか。

PZL TS-11 Iskra、ポーランド独自開発の最初のジェット練習機。なんとターボジェットエンジンも最初から独自開発の国産。1960年初飛行なのでT1と全く同世代だが、性能はともかく格好良さでは圧倒的にこちらの勝ちではないか。

メインのハンガー、明るい内部に驚くが、とにかく詰め込みすぎて写真が撮りにくいったら! 主に大戦後の機体が翼と機体が重なり合うようにギッシリと立体的に展示されている。

チェコのスコダ社の試作機。変態設計が目白押しで技術の高さが伺えるというか、チェコ人のチャレンジ精神が爆発している。

涙滴型風防のメッサー?と思いきやメッサーシュミット Bf109 の機体を独自進化(退化?)させたAvia社のS-199。Bf109Gを製造していたAviaがDB605エンジンが工場ごと焼けてしまったので入手可能なJumo211を搭載しました、って聞くと悪く無さそうなんだし伸びた機種もボコボコ膨らんだところも空気取り入れ口もカッコイイんだけれど、実はエンジンは重くてパワーは大して無くて駄目駄目な機体だったらしい。

どこにでもある何故かある、実際に宇宙から帰還したソユーズカプセル。触ったらアカンのかもしれんけどバンバン触れる。

手前のシャープなSF映画の宇宙ロケットみたいなドローンみたいなのは無人偵察機VR-3。このイカした見かけで1960年代ってのが痺れる。後ろは幾らでもあるSu-7BM、フィッター。

何故か突然現れるブリティッシュ・ファントムFGR-2。実は大戦中にドイツ占領下のチェコからはパイロットが大量に連合軍に亡命して参戦しており、その勇猛な闘いっぷりでイギリスの空を守ったのだ。そのお返しに当時彼らが所属していた第19航空隊からクベリ博物館に寄付されたもの、ということ、なるほど!

東欧だけあってMig15 – Mig21の初期ソ連ジェット機はあらゆる派生型が腐る程そこら中に積んであるが、さすがにMig29は大事に格納棟の中、と言ってもこれまた撮影困難なんだが。

Mil-1からMil-24Dハインドまで、旧ソ連製ヘリコプターがズラーッと屋外に並んでいる。

スウェーデン空軍のドラケン、元は50年代の機体だが、これは80年代に近代化改修したJ-35J型

旧ソ連製の輸送機などが芝生の上に並んでいる。これはアントノフAn-26

その前のバラックには大戦前、1920-30年代の機体が展示されている。釣られているチンチクリンなのはフランスのアマチュアが設計したという Mignet HM14

少し行った先にあるまた小さなバラックには珍しい過渡期のジェット機が保存されている。これはMe262と同時期に飛んだ連合軍初のジェット戦闘機グロスター・ミーティア。Me262と並んで見られるとは!!

なんとMe262が単座と複座の二機もあるのは世界でもここだけじゃ? 単座のこれは実はチェコバージョンの Avia S-92。

プロペラ戦闘機Yak-3のノーズの下にドイツからかっぱらったJumo004ジェットエンジンを括り付けたような、ソ連の大戦後の初期ジェット機Yak-17。意外と売れたけどすぐに高性能なMig-15がデビューして引退。

そのMig-15や後継機Mig-17の派生型はかろうじて屋根だけもらってその下で屋外展示されている。まーどちらも一万機以上生産されて東側世界中にばら撒かれて珍しくもなんともないからね。

1kmほど離れた綺麗な別館は体育館のように広く、場所に余裕があるし明るいし撮影しやすくて嬉しい。Mig15bisからロケットランチャー連装がイカツイSu25kまで旧ソ連機がずらり。何故か奥にはドイツのV1も。

Mig23BFフロッガー、可変翼でカッコイイと思うんだけどあまり人気は無い?

Aero XL-29 Delfin、1960年代にワルシャワ条約機構軍の主力ジェット練習機だった、チェコ開発の機体。ソ連のYak-32とのセレクションに勝ったというから大したもの。

とにかく大量の写真を撮りましたので、興味のある方は是非下のリンクのギャラリーをご覧ください。
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