模型用塗装ブース自作、その4(排気ダクト)完成

さて塗装ブース本体は出来たが問題は排気である。煙突のような本体上面の150mm径のファン排気口から右に見える窓の外へダクトを繋ぐ必要がある。さてこの窓であるが、ドイツの住宅では日本の様な引き戸の窓は珍しい。下図のような、左右開きかつ上面を手前に傾けることができる、2-wayの窓が住宅では基本である。エアコンも無いのでエアコン用排気口等と言うものも部屋には無い。機密性の高さが売りのドイツの一般住宅でどうやって窓から排気するかが塗装ブースの大きな問題となる。

よく有るのが、薄いダクトをホースの先につけて窓を少しだけ開けて隙間から出す方法。いや、開いた隙間から吹き戻ってくるし使う度に窓からちょっと出すとか面倒過ぎる。他の手としてはスポットクーラーの排気に使われる、布製の隙間を覆うカバーを窓につけて、つけたままの開閉を可能としつつ隙間を塞ぐ方法。これは実用的かもしれないが限りなくダサい。

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色々考えた末、これしかない!というアイデアを思いついたので作業を始める。まず、左側の壁と窓の間の5cmほどの隙間を埋めるため、薄板で細長い三角形の箱を作る。

次に右側の窓の縁を塞ぐような、同じく細長い三角形の板を切り出す。

完成した状態。ハンドルは下向き、つまり窓は閉まっている。窓の両横に先程の三角形部品を付けたので、横方向に開けることは出来なくなったがそれは妥協する。ご覧の通り排気ダクトは二重構造の静音蛇腹ダクト。これが色が黒しか無くて非常に目立って格好悪い。一重だと白も普通なんだけど。1.2mで19.9ユーロ。塗装ブースの排気口がかなり高さが高いので、窓の上面へ排気ダクトを繋ぐことでダクト長を最短とした。この距離が圧力損失に効くのだ。

自作塗装ブースから窓への排気ダクトを繋げた様子

下の写真が窓を手前に倒した状態。左右の窓枠は薄板でピッタリと挟まれ、空気は漏れない。手前に倒した上縁と壁の間の 8 cm 程のスペースから外に向けて排気する。150mm径のダクトから 7.5 x 22.5 cm の長円ダクトに変換するアダプタを付けている。ここで残念ながら流路面積が80%程になってしまうがこれより幅広の長円アダプタは存在しないので仕方ない。このアダプタが高く22.9ユーロもした。

自作塗装ブースから窓を内側に倒して屋外に排気できるようにした状態

これで自作塗装ブース設置完了となる。実際に稼働してみると充分な風量で、普通にエアブラシを吹くときはファンを全開にしなくても充分吸う。自室のドアの下には隙間があってファンを動かすとそこから室内に空気を吸うのだが、ドアの前に立つと足元を風が抜けるのが感じられるほどである。缶スプレーは試していないが問題無いだろう。排気ダクトまで取り付けた状態の騒音は台所の換気扇の弱設定くらいでやはり気になる大きさ。 iPhoneのSPLメーターアプリで測定してみたところ、非稼働時の背景ノイズ 27 dB に対しブース内部はファン最強で71dBで +44 dB、中間風量程度だと64dB (+37 dB) となる。頑張って静音化対策をした割には巷で聞くネロブース辺りの静粛性には及ばないようだ。安物ダクトファンの限界か。作業者の耳元だとここから -10 dB 程度下がるのだが。あと気付いた問題としては内部に取り付けた不織布フィルタが予想以上のスピードで目詰まりして吸引力を落とすので驚いた。フィルタの取り替えのために斜め板の脱着をもう少し簡単にできるようにすべきかもしれない。今の所、水性塗料かファレホのウレタンバーニッシュしか吹いていないためかブース内壁面は全く汚れていない。

塗装ではないが、ハンダ付けをするときもこのブースの前でやると臭い煙を吸ってくれるので健康に良さそうだ。LED照明が明るいのでその他の手作業もこのブースの前でやるとなかなか快適である。全方向から照明が当たるし何せ高演色性LEDを奢っているのでブツ撮り用の撮影ボックスとしても使えるかも? さて費用であるが木製の本体とファンだけなら100ユーロ強で安かったが、LED照明だ可変コントローラーだ静音ダクトだ、となんだかんだで200ユーロ強かかってしまった。それでもネロブースや互換ブースよりは安いよね、と自分を納得させている。安くないだろ?と思われるかもしれませんが、ユーロで生活している者にとっては未だに1ユーロは100円程度の感覚なのです。

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